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2011/04/28 17:54 |
キャラメル |
帰宅した遊戯はすぐさま机に向かった。
今日はほとんどの授業でどっさり宿題が出てしまったためだ。
「こんな量…ぜったい無理…」
積み上げた教科書を見ながらため息をついた。
「どうした?相棒」
もう一人の遊戯が心配そうに声をかけた。
「これ見てよ、もうひとりのボク!全部宿題だよ。今日中になんて絶対できない」
頭をくしゃくしゃにしながら遊戯がうなだれる。
「今日は帰ってゲームしようと思ったのに、ほら、お菓子も用意してたんだ」
ひきだしから小さな箱を取り出して≪遊戯≫に見せる。中にはキャラメルが入っていた。
「相棒、一気にやろうとするから難しいんじゃないのか?少しづつ片付けるとか」
「う~ん、とりあえず簡単そうなのから…って、ボクには全部難しいけど」
机に向かい、シャーペンを走らせる遊戯を見ながら≪遊戯≫は、そっとキャラメルをひとつ取りだした。
口の中に入れる。甘い塊が頬をいっぱいにした。
「あー!ずるいー!ボクが食べようと思ったのにー!」
「美味い」
「ひどいよ~」
「宿題を一つクリアするごとに一粒やるぜ」
「うぅ~、わかった!全部食べないでね!」
頬を膨らまして再び机に向かう遊戯。そんなとこも可愛いなと思いつつ、≪遊戯≫は口の中のキャラメルを溶かした。
「できたー!」
遊戯が両手をあげて叫ぶ。
「もう一人のボク!宿題一つできたよ!」
嬉しそうにノートを差し出す遊戯。
「やったな、相棒」
「うん、キャラメル~キャラメル~♪」
「今やるよ、口開けろよ」
小さな口が開かれる。
≪遊戯≫はその口にキスをした。
「ふう?ふ…ンチュ…ふあ…」
≪遊戯≫の口の中にあった甘い塊が舌を伝って、遊戯の口に移される。
「ふぅ…どうだ?美味いだろ」
「う、うん…でもほとんど…溶けちゃってるよ?そ、それにキス…だし…」
「じゃあ、もう一つやるぜ」
パクっと≪遊戯≫がキャラメルを口に頬張る。そしてまたキスをしてきた。
「口開けろよ」
「あう…ふあ…チュル…チュ…」
一粒のキャラメルを二人で共有しているという事実に遊戯の胸が高鳴った。
「今度はそんなに溶けてないだろ?」
「う、うん…。でもキスだなんて…」
「ただあげるなんてつまらないぜ。それに相棒は宿題に夢中だし。俺は寂しい」
「もう一人のボク…」
再び唇を塞がれる。中で舌とキャラメルが混ざりあい甘く溶けてしまいそうだ。
「ふぅ…ん…んん…ふあ…」
「相棒、他の場所も甘い?食べてもいい?」
唇を離した≪遊戯≫が首筋をペロリと舐めた。甘い香りが遊戯をくすぐる。
「あ、ああ…駄目…宿題…するから…」
「しょうがないな…早くやっちまえ」
「無理言わないでよ~」
「で、できた…やったよ…もう一人のボク…」
口の中のキャラメルを転がしながら遊戯はバンサイした。
「やったな、相棒」
「えへへ…キミのおかげだよ」
「相棒が頑張ったからな」
≪遊戯≫がそっと頭を撫でた。
「今度から宿題する時はキミに手伝って貰おうかな」
「エロいな、相棒」
「ち、違うよ…あう…違わない…か」
二人は再びキスをした。
「甘い…相棒の体も甘いんだろうな」
「わかんないよ…」
「試してみていい?」
「だ、駄目!!お風呂…入ってからがいい」
抱きしめようとする≪遊戯≫をさっとよけて、遊戯は風呂場へ走って行った。
「はぁ…甘いのが石鹸の香りにかわるのかな」
≪遊戯≫は後姿を眺めつつため息を漏らした。
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