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2011/04/07 00:03 |
俺だけの相棒 |
ちょいエッチあり。
大丈夫な方はドロー!
学校にいると、相棒は俺だけの相棒じゃないんだなって少しモヤモヤした気持ちになる。
こんなの子供みたいでかっこ悪いって思うけど、モヤモヤはどんどん広がっていくんだ。
今は家庭科の時間。
相棒は友達と楽しく料理をしている。
俺はそんな楽しそうな相棒を眺めることにした。
「わ~、火が~!!」
料理しないもんな。難しいか。
「遊戯、私のハンバーグ作り見てなさい」
「あう~、頼んだぜ~杏~」
俺はずっと眺めるだけだ。
相棒にハンバーグの作り方を教えることができない。
ここではできないんだ。
学校は相棒の場所。
相棒には相棒の世界がある。
その世界に俺が入った日。相棒は驚いていたけど、俺はすごく嬉しかった。
俺の世界が広がったから。
「昼食は作ったものを食べてくださ~い」
教師が生徒に指示する。
そうか、今日は相棒ここでご飯食べるのか。
いつも相棒は友達と食事をする。
俺がワガママを言って、二人で食べたいっていうと「しょうがないな~」と言って屋上で二人だけで食べてくれることもある。
それも今日はできないみたいだ。
モヤモヤが広がる。痛い。
(どうかした?)
相棒が心の中で話しかけてきた。
「いや、なんでもないぜ。…うまいか?」
(うん!美味しいよ!…キミにも食べてもらいたいくらい…)
それはできない。ここではできない。
学校の時間は相棒を一人占めにできない時間。
俺は屋上に向かった。
(どこいくの?)
相棒の声を背中越しに聞きながら走った。
階段を上る。むしゃくしゃして、バタバタと音を立ててやった。
幽霊が通ったとか思われるんだろうな。
屋上に出る。
空は曇っていた。雨が降りそうだった。
誰もいない。
金網にもたれながら座った。
ポタ…ポタ…
雨が降ってきたのか?
あ、なんだ、俺は泣いているのか?
くそ、恥ずかしい。なんでこんなことくらいで泣くんだ。
嫉妬なんてくだらないじゃないか。
「もう一人のボク!」
バタン!と音がして相棒が屋上に姿を現した。
「相棒…」
「どうしたの?悲しいの?」
「いや、別に…」
相棒に心配されている。心配されて喜ぶ自分が嫌いだ。
相棒は皆の…皆の相棒だ。
「嘘、泣いてるよ?」
「…なんでも…ない…」
涙が止まらない。相棒に優しくされて余計に涙が出てくる。
「自分が…嫌で…涙が出る…」
「もう一人のボク…」
「相棒が少しでも一緒にいないとこんなになってしまう自分が嫌だ。こんな、こんな子供みたいな…」
ギュ…
相棒が抱きしめてくれた。
「ごめんね、ボクももっとキミとお話したいよ。キミの姿が皆にも見れたらいいのに」
優しい…相棒はいつだって優しい。
俺は相棒の小さな背中に手を回した。
「相棒が好きでどうかしそうなんだ…苦しい…」
力を込めて抱きしめる。きっと今の俺はとても嫌な顔をしているだろう。
こんな汚い心で相棒を思っているんだ。
一人占めしたい。
俺の世界には相棒しかいないから、一人占めして、どこにも逃げ出せないように閉じ込めてしまいたい。
「苦しいよ…」
「すまない!」
何を考えているんだろう。俺は相棒を…。
「時々、自分がとても恐ろしく思えるんだ」
「どうして?」
「俺には過去がないから…。相棒にこんな歪んだ気持ちを持つなんて、きっと酷い人間だったんだ」
暖かい手が俺の頭をなでる。背中も。
「そんなことないよ。大丈夫だよ」
「…相棒は優しいな…相棒…相棒…」
逃がさないように俺は抱きしめる。
どこにもいかないで、俺だけを見て。
もし、相棒の背中に羽が生えていたら俺はその羽をむしり取ってしまうだろう。
早く走れる足があったら、その足を鎖で縛りつけてしまうだろう。
どこにも行かないように。
「相棒が好きで、大好きで苦しい」
「ボクも大好きだよ」
俺は相棒の口を強引に奪った。
息ができないくらいに。
「う、うぅ…うう…」
苦しい?相棒…。
「ふは…もう一人のボク…、ボクはここにいるよ」
「うん」
「だから心配しないで」
もう一度口づけする。俺は卑怯だ。相棒がその気になるんじゃないかと期待して唇を吸った。
「う、あ…だ、駄目だよ?学校では駄目…」
「そんなのどうだっていい、相棒が今欲しいんだ」
逃がさない。逃がすもんか!
「…少しだけだよ?」
相棒が悲しそうな顔をした。
嫌だ、そんな目で俺を見ないでくれ。
俺は相棒の体を汚した。
チャイムの音が鳴っても離したりしなかった。
「や、止めて…もう、時間…だから…」
金網にもたれて、制服をはだけさせる。
相棒の綺麗な体を俺みたいな汚い人間が汚している。
「うぅ…もう一人のボク…」
相棒が抵抗する。
泣いている。俺が泣かせてしまった。
「ごめん…相棒…」
息を切らせながら相棒が崩れ落ちた。
泣いている。
「キミの気持ちは嬉しいから…だから不安にならないで。ボクの大切な人はキミだけだから。不安にならないで」
相棒が制服を整えながら笑った。
とても悲しい笑顔だった。
「大好きだよ、もう一人のボク」
「俺も…大好きだ…」
手をとってくれた。
こんな酷いことをした俺の手を握ってくれる。
「戻ろう?一緒には、いられるじゃないか。いるだけなんて!って思うと寂しいけど…ボクはいつもキミがそばにいてくれて本当に嬉しいよ」
「相棒」
「だから不安にならないで。いつも一緒だよ」
教室に戻る。
いつも一緒だ。
相棒と俺はどこにいてもいつも一緒じゃないか。
心の中で二人だけの世界で繋がっているじゃないか。
俺はそれでも足りないというのだろうか。
「相棒、ありがとう。あと、すまなかった、無理やりなんて…」
「そうだよ?もう…帰るまで我慢してね?」
いたずらっぽく笑ってくれた。
俺はずっとそばにいる。
どんなことがあっても相棒と一緒にいる。
大好きだから。
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