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パズルのかけら

Y☆G☆O闇表SSブログです。同人、BL、男性同士の性描写が苦手な方はご遠慮ください。闇表好きさんはどうぞごゆっくりしていってください。原作者様、関係者様とはまったく関係のないファンブログです。
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2024/05/19
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2011/12/03
20:57
秘めた思い

表が初めて闇に対する自分の気持ちに気がつき告白するお話。
キスありの甘甘です。


憧れだと信じていたこの気持ちは、憧れではなく恋なんだと解った瞬間、ボクは泣きそうになった。
好きになってはいけない人を好きになっている事実。

ボクはもう一人のボクが好きだ。

初めは憧れだった。
自分よりも頼りになって強いキミ、ボクはキミの後姿を追いかけながらキミみたいになりたいと思ってきた。
キミのおかげで友達もできたし、キミがいるおかげで悩みだってなくなったんだ。
でも…今は…キミへの思いでつぶされそうだ。

この気持ちに気がついたとき、そんなはずない!と思った。
彼は男でボクも男だ。好きになるなんておかしいと思った。なってはいけない、自分は悪いことをしている…。そんな風に思った。
でも頭の中はキミでいっぱいだ。
気がつくと入れ替わったキミを目で追っている。
綺麗な指先を見ながら触れたい、触れて欲しいと思うようになった。
苦しい…。

「相棒!」
あ、キミの声…。
「相棒!こぼれる!」
「え?…あ!」
朝早く目が覚めたボクはミルクコーヒーを作ろうとしていた。
インスタントコーヒーにお湯を注ごうとしていたら、カップからコーヒーが溢れていた。
「わわっ、あ、あつ!」
急いでポットを置くと、お湯が手にかかった。
「大丈夫か!?相棒!」
右手が赤くなっていた。
「水で冷やさないと!」
「う、うん…」
「…どうしたんだ。寝ぼけてたのか」
「ご、ごめん…」
キミのことを考えていたとは言えなかった。
「冷まさないと…」
もう一人のボクがボクの右手に触れる。その瞬間、胸の鼓動が速くなった。
「大丈夫だからっ!」
ボクはその手を振り払った。
「あ、ごめん…その…違うんだ…。大丈夫だから…」
「…ああ、そうか…」
キミへの気持ちに気がついてからずっとこんな調子だ。ボクはもう一人のボクを意識してしまって、どうしていいかわからない。
本当は嬉しいのに。触ってもらえて、心配してくれて…凄く嬉しいのに。
嬉しくなる自分とこの思いは抱いてはいけないという思いに頭が混乱する。
ごめんね、好きになってごめんね。
もし、この気持ちがキミにわかってしまったらどうなるんだろう。
きっとキミは優しいから困ってしまうね。
ボクはキミを困らせたくない。だから、この気持ちはボクの胸のずっと奥の奥にしまっておこう。
キミにわからないように。


でも、もしもキミがこのままいなくなってしまったら?
ボクはどうしたいんだろう。


「相棒の声が聞こえない」
「え?」
学校の帰り道。もう一人のボクがポツリと言った。
「前は心の声が聞こえていたのに。内緒でもあるのか?」
ドキン、ドキン、ドキン…
「別にないよ、普通…」
「そっか…普通か…」
トボトボと歩いていく。何か、何かしゃべらなくちゃ。変に思われちゃう。
「あ、あの…秘密ぐらいあるんだよ?ボクだって…」
「フフ、そうだよな。相棒はそういう年頃だしな」
「キミだってかわらないよ!キミにも秘密ぐらいあるんじゃないの?」
ボクの言葉にもう一人のボクが立ち止まる。
「ああ、ある。相棒に言えないこと」
あるんだ。
「でも言わないぜ。相棒が言ってくれたら言うけどな」
「そんなのずるいよ」
嘘。ずるいのはボクだ。
「ボクに…言えないこと?」
「相棒だって言えないことあるだろ」
知っているの?
どうしよう。伝わることなんて絶対ないって思っていたのに。
心の奥にしまっていた気持ちなのに。
「し…知ってるの?ボクの秘密…」
ボクはキミの瞳を見据えた。赤い目はボクにまっすぐ向いている。吸いこまれそうだ。
「いや、知らない。ただ、相棒の心がわかる前はポカポカして凄く心地よかったのに、今の相棒の心は冷たい」
それはキミに知られたくないから。知られたらキミを困らせちゃうから。
「まるで俺を拒絶…。…相棒…」
「え?」
「どうして、泣いているんだ」
泣いてる?ボク泣いてるの?
「う、うぅ…。グス。あれ?あれ?どうして涙が…」
「相棒…」
「ごめん!ごめんなさい!!うぅ…ふぅう…」
どうしよう。涙が止まらない。困らせてる。もう一人のボクを困らせてる!
「違う…これは、これは…」
「相棒、やっぱり俺は暖かい相棒の心が好きだ」
「うぅ…だめ…だよ…あったかいの…だめ…」
「どうして…」
駄目だよ…しゃべたら…もう…
「キミのことが好きだから…。知られたくなかった、うぅ…」
ああ、もう駄目だよ。止まらないよ。
「キミのことが大好き!好き…!好きなんだ…。おかしいんだ、ボク」
止めて、止めて…!
「男なのに、キミのこと一人占めに…したいとか、触りたいとか考えて…ぐす…気持ち悪いんだよ…」
涙が溢れて目の前が見えない。キミの顔を見るのがつらい。
「ごめんなさい、好きになって…ごめん…うぅ…」
涙を拭こうとして、目をこすろうとしたらもう一人のボクがその手をつかんだ。
「嫌だ…嫌だよ…見ないで…こんなボ…」
しゃべろうとしたら、唇を塞がれた。
え?柔ら…かい…。これって、これって…。

ボクはもう一人のボクにキスされていた。

「うぅ…う…ふあ…」
あったかい。
唇が離れていく。
「ど、どうして…」
「わからないのかよ。俺の秘密…俺は相棒のことずっと好きだったんだぜ」
頬を赤くしてキミが言った。
もう一人のボクがボクのことを…好き?
「そ、それって…どういう…こと?」
「なんだよ。まだわからないのか?…俺も相棒と同じこと考えていたって。大好きだって…」
「う、嘘だ…」
「嘘ついてどうするんだよ。キスまでしたんだぜ。す、凄く緊張したぜ」
ああ、心の中が暖かくなっていく。
モヤモヤした黒い気持ちが飛んでいく。
「ボクと同じ?好きってこと?」
「何度言わせるんだよ。は、恥ずかしいぜ」
「うぅ…ごめん」
「謝るな!あと泣かないでくれ。つらいぞ?好きなヤツの泣き顔…」
もう一人のボクがそっと涙を拭いてくれた。
「こ、こんな路上でキスまでさせやがって。もう解っただろ!俺の秘密!俺だって相棒のこと大好きだ。相棒のこと考えては、恥ずかしいことも…その…考え…たり」
「恥ずかしいこと?」
「な、なんでもないぜ」
ギュっと手が握られる。
「帰ろうぜ…そ、それと、だ、大事にするから…相棒のこと。もう泣かせないから」
手がボクをひっぱっていく。ボクは嬉しくなってまた泣いてしまう。
「泣かないでくれって!ど、どうしたらいいんだよ」
「うう、ふぅ…ごめん…あ、あの嬉しいからだから…」
夕焼け色に染まったキミが微笑んだ。
ボクもつられて顔がほころぶ。
「これからもよろしく相棒。俺の…大好きな人…」
「えへへ…キミって結構キザなんだね」
「なんだと!?くそ、俺だってこんな恥ずかしいこともう言いたくない」
歩いていく。
いつもの帰り道はまるで今できたばかりの道のようで。
ボクはしっかりともう一人のボクと歩いて行った。

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